| TIBET2000 Day9_4 国境の町･ダム | |
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山の急斜面にへばりつくように林立する建物群。その奥には厳然とそびえる岩山が見える。頂上はガスで見えない。僕らがチベットを旅した９日間、一度も雨は降らなかった。雨の気配すら感じなかった。そして、いよいよチベットを去るという時になって、空気に湿気が混じる。後で聞いた話だが、この後、ダムには大雨が降ったらしい。 一気に2000メートル下ってきた。この国境の町･ダムは標高2350メートル。高山病にかかる高度は2500メートル以上というから、もはやここは｢低地｣と言ってもいいだろう。 町そのものも、町を歩く人々の顔立ちも、今までとはまったく違った雰囲気がする。一応、チベットの町ではあるのだが、ネパール語で｢カサ｣という名もついているこの町には、チベット人より中国人やネパール人が多いように感じる。もっとも、僕らはここに長くいたわけではないから、深く突っ込んだ話はできない。 ここはネパールとの国境貿易が盛んで、中国、ネパール、チベットの品物があふれているという。物価もチベットで最も高く、ラサの２〜３倍近くするらしい。 僕らはガイドに促されて、イミグレへと向かう。 |
| イミグレの窓口で出国審査を受ける。チベットは入国に関しては厳しいが、出国は拍子抜けするぐらい簡単だ。どこの国でも同じかもしれないが、｢出て行く奴は勝手にどんどん出て行け｣といった感じだろうか。 パスポートを審査官に提示すると、簡単な質問をされる。 ｢日本人デスカ？ 会社員デスカ？｣ 驚いたことに、日本語で質問してきた。素直に｢ハイ、ハイ｣と答える。パスポートにバンッと出国スタンプを押す。 これで、僕のチベット旅行は終わりを告げた。これまでの過酷な道程が、まるで嘘のように感じられるような、あっけない終幕だった。 |
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