| TIBET 2000 Day7_5 ロンボクへ | |
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シェーカルからロンボクまでは車で6時間かかる。道中、信号があるわけでもない。渋滞があるわけでもない。だが、だからといってスピードを出せるわけでもない。理由は簡単だ。 道が悪い。 ただそれだけ。 今までの道もかなりの悪路だったが、シェーカルからロンボクへ向かう道はそれに輪をかけてひどい。もはや｢道｣などと呼べるものではない。荒野をひたすら走ってゆくのみだ。 左の写真には小川が写っている。これは｢道沿いを流れるヒマラヤの雪解け水｣などといった優雅なものではない。チョモランマへの行くてを阻む雪解け水なのだ。 僕らを乗せたランドクルーザーは、極限まで速度を落とし、この小川を渡る。橋などあるわけがない。 |
| 一面の砂利の中に車の轍が見える。かろうじてこれが｢道｣であることがわかる。運転手は巧みにその轍から車輪が逸れないように車を走らせる。少しでもずれるとハンドルを取られてしまい、崖の底へと落ちてしまいそうだ。 九十九折の道を延々と走りつづける。標高はどんどん上がってゆく。同行者の時計には高度計がついていたのだが、計測できるのは標高5000m前後まで。デジタル表示は数時間前から同じ数字を示しつづけている。もはや正確な高度はわからない。 車はひどくゆれる。すさまじい吐き気が襲ってくる。意識が混濁して、わけがわからなくなってくる。 僕らはいったい、今からどこへ向かおうとしているのだろう？ 僕はなぜ車に乗っているのだろう？ やがてチョモランマの山頂が見える。 そうだ、僕らはあの山を目指しているはずだ。だが、なぜ？ |
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