TIBET2000 Day7_4 ヒマラヤ
チベットの食事はとてもまずい。シェーカルでとった昼食も、とても食えたものではない。だが、ともかく何か口にしておかないと体力が続かない。これからチョモランマへと続く道は今まで以上の悪路だという。車に激しく揺られていると、何度も吐き気をもよおすのだが、ひたすらこらえて5000m級の峠をいくつも越える。

やがて僕らはある峠にたどり着いた。チベットにはいくつかの有名な峠がある。カムパラ、ランマラ、ラルンラ、ランルラ…
ここがなんという名の峠なのか、当時は把握していたのだが、2年経った今となっては思い出せない。地図を見ていると、おそらくパンラという峠だと思う。もしくはランマラ。
真正面に見えるのが、分かりづらいがチョモランマだ。右手がチョーオユー。


チョモランマを目指してここまでやってきた旅人たちは、ここでこの眺望を楽しむ。手前の石碑は、ここが国立公園であることを意味している。
さらに奥へと進む。ヒマラヤ山脈がどんどんと間近に迫ってくる。チョモランマがいっそう近くに見える。
ついにここまで来たのか…

僕はこのパノラマを見ながら、ひと時、感慨にふける。足元には旅人の安全を祈願するオボがいくつもある。僕もその上に石を積み上げ、無事にチョモランマへとたどり着くことを祈る。
風が強い。立小便をすると、風で吹き飛ばされ、ズボンにかかる。だが、空気が乾燥しており、風もきつく、日差しも強烈なので、あっという間に乾いてしまう。
だが、そんなことより、目の前に世界最高峰、チョモランマが聳え立っているのだ。標高5000m級の峠。チョモランマを眺めながら立小便をすることなど、一生に一度の経験だろうと思うと、「汚い」という気持ちなど、微塵も感じない。
チョモランマまではまだまだ距離がある。それでも、なんと美しい景色なのだろう。僕はここで立ち尽くし、長い間、この景色を眺めていた。

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