| TIBET2000 Day6_3 キャラバン | |
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シガツェを出る。例のごとく、悪路をひたすらに疾走する。延々と続く不毛な大地を眺めるのもそろそろ飽きてきた。 日が高くなるにつれて体感温度も少しずつ高くなってくる。僕の体左半分は日焼けでヒリヒリしている。 しばらく走っていると、家畜を連れた集団が見えた。｢あれ、なに？」とガイドに聞いてみると、キャラバンだと言う。このあたりでよく休憩を取るらしい。 ｢興味があるなら車を止めて彼らと話してみるかい｣ ガイドが言う。一も二もなくうなずく。話にはよく聞くのだが、｢キャラバン｣というものを生で見たのは生まれて初めてだ。僕らは車を降り、彼らに近づいていった。 |
| それほど規模の大きなキャラバンではない。人数にして十人と少しといった程度だろうか。数人ずつが固まって食事をしていた。 僕らが近づくと、最初は怪訝そうな顔をしていたのだが、こちらが笑顔を見せると、彼らの顔も笑顔になる。 僕はチベット語がまったくわからない。ガイドに通訳してもらう。彼らはこれからラサへ向かうという。 彼らが囲んでいる鍋を覗き込んだのだが、質素な粥のようなものだった。｢食うか｣と進められたのだが、チベットの食にうんざりしていたので遠慮した。 僕は彼らを見ていて、とても羨ましく感じた。理由は分からない。抜けるような深い空の下で、屈託なく彼らは笑う。 |
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