初日、本当なら前日に出発する予定だったのだが、飛行機のトラブルで1日延期になった。
そして翌日、中国南西航空でカトマンズからラサへと飛ぶ。
飛行時間は約1時間ほどだろうか。詳しくは覚えていない。
出発してしばらくすると、窓外にヒマラヤ山脈のパノラマが広がる。眼下にはひたすら雪をかぶった峻険な山々が連なり、見てて飽きない。

乗客たちは最初、誰もが窓際の席を希望して、｢座席争奪戦｣が繰り広げられたのだが、
飛行機がヒマラヤ上空に差し掛かると、もはや座席など関係ない。機内は混乱状態に陥る。
僕は窓から離れた席に座っていたのだが、ともかく写真をとりたい一心で、窓際の席に座ってたおっさんの膝に乗っかって写真をとりまくった。
｢なんだ、この東洋ボーイは｣なんて怪訝そうな顔をしていたが、僕がそのおっさんから離れた後も、次々とそのおっさんの膝に乗っかる人たちが続く。結局、そのおっさんは諦めて席を立った。

この山脈を越えれば、憧れのチベット…
心が浮き立つと同時に、｢本当にチベットにたどり着けるのだろうか｣という不安もある。
入域制限の厳しいチベット。入国審査ではねられやしないか、と不安は尽きない。